【専門家監修】老犬に適切な食事量や頻度はどれぐらい?

食事2021年9月2日by 大谷幸代さん
三代でレオアンドレアのフードを食べてくれているこむぎちゃん、ましろちゃん、ちくわくん(@saka1220m)
三代でレオアンドレアのフードを食べてくれているこむぎちゃん、ましろちゃん、ちくわくん(@saka1220m)

犬は人間の7倍ものスピードで老化が進みます。小型犬も大型犬も、6歳を超えると白髪が目立つようになり、動きはゆっくとなり、1日のほとんどの時間を睡眠に費やします。加齢がすすむと外見の変化だけでなく、体の中にも様々な変化が起きるためフードの好みが変わったり、少食や偏食も目立ち始め、食事へのお悩みも増えることでしょう。

今回は老犬の食事で気を付けるべきポイントを詳しく解説します。

シニア期の定義と体の変化

シニア犬に見られる身体的特徴の変化

犬は3歳が心身共に絶頂期です。その後は緩やかな下降線をたどり、6歳を過ぎると、加齢による変化が目に見える形で現れるようになります。

  • 白髪
  • 目の白濁や視力の低下
  • 筋力の減少
  • 被毛の量が減る、艶が無くなる
  • 体重減少

徐々に動きが緩慢になり、散歩や遊びでもはしゃぐことが減り、家族も愛犬の変化を実感し始めるでしょう。

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内臓機能の変化

加齢による変化は外見だけでなく体の内面にも同時進行で起き、健康維持に大切な消化吸収機能の低下もその1つです。

以下の症状に思い当たる点はありませんか?

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 少食や偏食
  • 毛艶が悪くなる
  • 体重減少

子犬用フードから成犬用フードに切り替え、気がつけば同じフードを何年も与え続けていたものの、最近様子がおかしい、食べ残しが気になる。

これは実は単なるわがままや偏食が理由ではなく、加齢による体調変化が関係していることもあります。

食欲はあるものの油分や脂肪分の高いフードは消化不良を起こしてしまう、強い風味が胸やけを起こしてしまい食欲が減退してしまう、これまでと同じ量を完食すると胃もたれや不快感を起こしてしまうなどシニア期のワンコは様々な問題に直面します。

犬の平均寿命は10年を超え、6歳はまだまだ元気といわれる年齢ですが、内臓機能の低下は徐々に進み始めています。愛犬の様子に合わせ、年齢に合った食生活に切り替えましょう。


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シニア期を元気に過ごすには?老犬に必要なご飯の量と質

以下のような遺伝的要素や生活環境の違いから、老犬に必要な食事量を数値で一概に決定することはできません。

  • 遺伝的な特徴
  • 健康状態、持病の有無
  • 生活圏の気温や気候、自然環境
  • 毎日の運動量や室内での過ごし方

兄弟や親子、同居犬同士でもシニア期の体調には様々な違いがでてきます。シニア期を元気で快適に過ごすには、愛犬に合ったフードを選び、適量を与えることです。

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愛犬に合った質のフードとは?

犬は何歳になっても雑食性の肉食動物であることに変わりはありません。良質な動物性タンパク質を毎日の食事から摂取することは健康維持の原則ですから、以下のポイントに合わせて、原材料や品質にも着目しましょう。

  • 愛犬が好むフードであり、スムーズに咀嚼、飲み込みができる
  • 食後に頻繁に嘔吐することがない
  • 健康的な回数、量の排便がある
  • 体重の増加、減少が起こらず一定の数値を維持している
  • アレルギー症状が起こらない

一般的なシニア向けフードの特徴

一般的なシニア犬用フードには、食欲の変化が目立ち始めるワンコたちのお悩み解消のために様々な工夫が施されています。ここでは主な工夫ポイントと、ポイントごとの詳細や注意点を解説してます。

  • 食べやすいサイズであること

丸呑みをしないか、喉につまらないか、口からこぼれ落ちてしまわないかなどが見極めのポイントです。

  • 低カロリー

運動量が減った、肥満気味、昼寝をしている時間が多いワンコたちには推奨できますが、少食や偏食に悩むワンコたちにとっては栄養状態の悪化を招く可能性があります。

  • 動物性タンパク質の含有量が少ない

肉や魚の配合量を減らすことで低カロリー化を実現できますが、代わりに配合される穀物や炭水化物は低下した内臓機能には負担となります。食事量が減り、消化吸収機能が低下し始めているシニア期のワンコには、少量で効率的に必須栄養素を摂取できる食事が向いています。

  • 風味が強い

動物性油脂や脂肪分を多量に配合すると、穀物の粉末であっても肉に似た強い風味を醸し出すことができます。この強い風味に嗅覚が刺激されると、条件反射的に食欲が増大し、フードを勢いよく完食してくれますが、これは愛犬の健康維持に好ましいことではありません。無意識に完食したことで、食後に膨満感や胃腸の不快感、下痢といった症状に見舞われることがあるからです。

動物は自分の体の変化に敏感で、自分自身の状況をきちんと把握できています。自分に今どれだけの栄養量が必要なのか、どのタイミングで食べるかべきかを知っています。

愛犬がフードを完食してくれる姿をみることはとても嬉しいものですが、「よく食べる」ことは老犬の食事に必須ではないことを覚えておきましょう。

シニア期だからこそ、肉や魚など犬本来の消化吸収機能に合った食材で作られた食事をあたえ、その上で体重管理に努めることが愛犬にとって無理のない食生活につながります。
風味の強さや食事へのこだわりも歳を重ねるにつれて強くなるので、栄養をしっかりと考えたうえで愛犬の好みを尊重してあげることも大切なポイントです。

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健康でリラックス、長生きしてもらうためのコツ

お散歩中、とてもきもちよさそうなRamちゃん(@rammy)お散歩中、とてもきもちよさそうなRamちゃん(@rammy)

犬も歳をとるにつれて頑固で偏屈になるものです。これは人間と同じですね。

家族には理解できないこだわりが増え、よかれと思ってしたことを無下にされることも増えるでしょう。

長年一緒に過ごしてきた愛犬だからこそ、暮らしの中のこだわりや自己主張が愛らしく思えるものです。

シニア期の愛犬は食事の量や質のみならず、タイミングにもこだわりが増えてゆきます。

例えば、寝起きはまるで食欲がないものの、夜になると食欲が増大し、家族の食事まで催促をすることもあるでしょう。

散歩から戻った直後はテンションが高く、大きな声で食事を催促することもあります。

食事はマイペースで少量ずつ食べたいタイプのワンコは、数粒ずつ気まぐれに丸一日もかけて食べ続けることもあるでしょう。

老犬が見せるこだわりは、バリエーションが豊富でなかなか共通の解決策がありませんが、

  • 愛犬の生活リズムを尊重する
  • 家族の理想や基準を愛犬にあてはめすぎない
  • 家族も愛犬も無理のない生活スタイルに変えてゆく

このような対応でお互いにとってストレスフリーな生活を目指してゆきましょう。

犬は自分自身の健康状態や気持ちよりも家族の想いや期待を優先してしまう習性があります。家族がシニア期のワンコとの暮らしに過度に不安や戸惑いを抱え続けていると、愛犬も衰えてゆく自分自身への不安を募らせてしまうでしょう。

シニア期を迎えたことで、これまでとは違う様々な変化が起こるということを家族が落ち着いた気持ちで受け止め、前向きでいることが愛犬に健康でリラックスして長生きをしてもらう最良の方法です。

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ももちゃん、ゆずちゃん、なつめちゃん(@mamegohan178)ももちゃん、ゆずちゃん、なつめちゃん(@mamegohan178)

先に記載させて頂いた通り、多種多様な生活環境で育ってきた老犬には、身体的・性格的特徴の変化の組み合わせから、食事について必要なケアに個体差が多くでてきます。

シニアになっても若い頃と変わらず食欲が旺盛なワンコもいます。シニア期に入り食事の好みが変わったり、これまでなかったアレルギーを発症することもあります。

足腰関節の不調を抱え早急なダイエットが必要になることもあるでしょう。

この様なお悩みはすべての犬に向けて作られたオーソドックスなフードでは十分な対応ができません老犬の食事は年齢や体質、体重を基に作られたカスタムフードをオススメします。

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記事の公開日:2021年4月7日

更新日:2021年9月2日

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記事執筆&監修:
大谷幸代さん大谷幸代さんドッグトレーナー

大学在学中にイギリスへの短期留学を経験し犬とのライフスタイルを学びペットビジネスの世界へ。20年以上にわたり生体販売、トリマー、トレーナー、店舗開発、成田空港内ペットホテル開業にと従事。現在は3匹の保護犬と1匹の保護猫をパートナーにペット用品の開発、コラム執筆、専門学校講師として活動中。

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