【専門家監修】散歩コースに潜む危険、注意すべきポイント5つ

ライフ2022年5月11日by 大谷幸代さん

公開日:2019年10月24日

更新日:2022年5月11日

いつもの散歩コース、安全ですか?運動量の確保、道中の光景や匂いのバラエティに加え、安全性も大切なコースを決める基準のひとつです。気がつけば何年も同じコースを歩いていることもあるかと思いますが、環境は日々変化し、季節や時間帯によって安全性は異なり、意外なところに危険が潜んでいることもあります。この記事では、散歩コースに潜む身近な危険とその対処法についてドッグトレーナーの大谷幸代さんに解説していただきました。

1.公園や庭先に!毒性のある植物

毒性のある植物リスト

お散歩道や観葉植物など、屋内外問わず身近にある有毒な植物たち。そんな危険からワンコたちを守れるのは、一緒に生活する私たち家族だけ。この機会に知っておきましょう。

スズラン

有毒部分:全て
症状:嘔吐、下痢、腹痛、心不全
季節:4~6月
可憐な姿とは裏腹に、強い毒性をもつスズラン。摂取すると死に至る可能性もある花です。

ツツジ科全般(セイヨウツツジ、アセビ、アザレア、
シャクナゲ等)

アセビ

有毒部分:葉、根革、蜜
症状:口腔の灼熱感、よだれ、嘔吐、下痢、徐脈、中枢神経の抑制、不整脈、血圧低下
写真のアセビは、漢字で馬酔木と書き、馬が葉を食べると毒によって酔ったようにふらつくことから名付けられています。ちなみに、道路脇によく咲いている「ヒラドツツジ」に毒性はありません。

オシロイバナ

有毒部分:根、茎、種子
症状:皮膚や粘膜への刺激作用、嘔吐、下痢、腹痛
季節:6~10月頃
真っ黒な種をつぶすと白い粉が出てくる、オシロイバナ。道端にもよく咲いている雑草なので、お散歩時は気をつけましょう。

ポインセチア

有毒部分:茎からの樹液、葉
症状:嘔吐、下痢、皮膚炎、口腔の灼熱感
クリスマスシーズンによく見かける、ポインセチア。ツリーやリースなどの装飾にも生花が使われていることがあるので、注意が必要です。

クリスマスローズ

有毒部分:全て。特に根
症状:口腔の灼熱感、腹痛、胃炎、嘔吐、下痢、心臓麻痺、死亡
季節:1~4月頃
クリスマスローズの別名は、ヘレボルス。傷つけるを意味するギリシャ語の「ヘレイン」と食べ物を意味する「ボラ」が由来です。

スイセン

有毒部分:球根部分
症状:嘔吐、下痢、胃腸炎、心不全
季節:冬~春
庭先や公園でよく見かけるスイセン。人間が花が咲く前のスイセンの葉をニラと間違えて、食中毒になったという報告があります。

アイビー

有毒部分:葉、果実
症状:嘔吐、下痢、腹痛、口の渇き、よだれ、皮膚への刺激
こちらも人気の観葉植物アイビー。建物の外壁を覆ってい蔦もアイビーのことが多いです。

モンステラ

有毒部分:葉
症状:皮膚のかぶれ、口腔の灼熱感、よだれ
大きな切れ目の入った葉が印象的なモンステラ。ウェブ上では、犬が食べてしまったというブログが多数ありました。ワンコが興味を持ちやすいのかもしれません。

その他にもティファインバキア、シクラメン、クロッカス、クレマチスなど、身近な花にも毒性があります。

<参考> 環境省ホームページ「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」、環境省ホームページ「ペットが出会う危険な植物」

食べてしまった場合の対処法

もしもワンコが危険、有害といわれる植物を口にしてしまったら、家族は焦らず、その場でワンコを立ち止まらせ、嘔吐や痙攣、ヨダレなどの異変がないか様子を確認しましょう。

犬が植物を口にする際は、食べようとしているのではなく興味本位のこともあり、違和感を覚えすぐ吐き出す場合もあります。家族の突発的な行動は逆効果となります。

特に、飼い主の以下の行動は、ワンコの焦りやパニックにつながるため控えましょう。

・無理に口から取り出そうとする

・口を大きく開けさせ、口内に指を入れる

・水を飲ませる

・吐き出すように腹部に圧をかける

口にしたものを必死で取り上げようとすると、ワンコは条件反射で強く歯を食いしばり、口内に残った異物を飲み込もうとしてしまうのです。

散歩コースには、犬に危険とされる植物以外にも、除草剤が散布された雑草も生い茂っています。特に春~夏は雑草が生い茂るので、公園では景観維持のために、除草剤を散布することがあります。散布後はほとんどの場合、公園や公道に掲示がされます。必ず散布エリアを確認し、散布後1~2週間程度は別のコースを利用しましょう。

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2.ノミ・マダニ・蚊

不衛生な暮らしをしているワンコに限った問題と思われることが多い、ノミ・マダニ。しかし、散歩中やドッグランでの寄生事例がとても多く、定期的にトリミングやシャンプーをしていても無縁でありません。

雑草が生い茂る環境は、ノミ・マダニの生育に最適です。茂みに入り込んだ犬を狙って寄生することで、繁殖、産卵に適した環境を手に入れることができます。どちらも暖かくなってくると行動を活性化させるため、家族が快適でお出かけ日和と感じる気候が多い春~秋は、寄生の危険性が高まる季節でもあります。ノミ・マダニの駆除や予防はシャンプーやブラッシングだけでは不十分のため、必ず専用製品を使用しましょう。

初夏から秋先にかけては、ノミ・マダニに加えて蚊にも注意が必要です。蚊が媒介して感染するフィラリア症は犬の命にもかかわる重篤な症状を引き起こします。動物病院を受診し、推奨される予防期間に合わせた予防・駆除薬の服用を続けましょう。

ノミ・マダニと同じく蚊も、日陰や木陰など涼しい場所を好んで生息します。散歩中に涼を求めてひと休みした場所でワンコが蚊に刺されてしまうこともあります。

予防のため、

・犬用防虫スプレーを持参し、散歩中もこまめに吹きかける

・薄手の洋服を羽織らせる

・雑草の生い茂る場所には無暗に立ち入らない

などの対策を習慣化してゆきましょう。

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3.拾い食い 

レジャーやお出掛けの機会が増えるこの時期、散歩コースには以下に挙げるような、思いもよらない物が落ちていることがあります。

・チョコレート菓子の入っていた空き袋

・パッケージに入ったままのおにぎり

・焼き鳥の串

・腐敗した食べ物

犬には腐食性と呼ばれる習性があり、腐敗している食べ物でも、躊躇せず食べてしまいます。食欲旺盛な犬が落ちていたコンビニのおにぎりをパッケージのまま飲み込んでしまったという事故や、BBQ後に残された焼き鳥の串を飲み込んでしまったという事故、悪意を持って有害物をしみ込ませたパンを犬が食べてしまい死亡したという事故も発生しています。

拾い食いは、しつけだけでは完璧に制御することが難しく、美味しい臭いに刺激されて突発的に犬が食べ物を飲み込んでしまうこともあります。

散歩中は常に愛犬の行動に目を配り、

・急に立ち止まる

・執拗に臭いを嗅ぎ続ける

・いつもと違うコースに進もうとする

などの異変があった時は、すぐにその場から遠ざかるようにしましょう。

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4.足元

適度に日陰や草地があり、足裏へのダメージを最小限に抑えることができるコースであることも安全性確保の上で大切な条件です。

5月上旬ともなると、半袖でも暑さを感じるほどに気温が上昇し、足元のアスファルトの表面温度は、気温より20度以上も高くなります。気温が25度であれば、アスファルトの表面温度は45度を超えています。高温な場所をワンコは素足のままで歩き、立ち止まったりするわけですから、足裏が受けるダメージは甚大で、重度の火傷を負うことさえありえます。

初夏の海辺で過ごすリラックスした時間、ワンコと一緒に海水浴と計画をされている方も多いでしょう。砂浜の表面温度は、アスファルト以上に高温になるうえ、海辺には直射日光を遮ってくれる日陰もありません。

ワンコを暑さから守り、快適に過ごすために、

・犬用靴を履かせる

・ポップアップテントなど手軽に設置できるアイテムで日陰を作る

・直射日光があたる場所は抱っこで移動をする

などの方法がオススメです。

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5.一瞬のよそ見や油断

散歩中にスマホを見たり、友達と立ち話をすることもあるでしょう。犬友達との井戸端会議もワンコライフの楽しみの一つですが、最中の一瞬のよそ見や油断がワンコを危険にさらすこともあります。ワンコの怪我の多くが、散歩中、以下のような状況で発生しています。

・雨天

雨の日は視界が悪くなるうえ、自分の足元や通行人の傘などに注意が集中しがちです。特にバイクや自転車は、散歩をする人間の足元を歩く小さなワンコの存在に気がつかないことが多くあり、衝突してしまう事故が発生します。

・日没後、夜間

暑い季節、散歩に出かける時間を早朝・夜間に切り替える方も多いでしょう。日没後は視界が悪く、雨天時と同じく周囲にワンコの存在が認知されにくくなります。毛色が黒や茶色のワンコは特に視認性が悪いため危険度が増すため注意しましょう。

・混雑した場所

観光地やショッピングモールなど、多くの人が行き交う場所では、華やかなポスターやディスプレイされた商品に目が向き、足元に小さな犬がいることなど、想像をしていなかったという声がたびたび挙がります。ワンコ目線で考えると、大勢の人やベビーカーで混雑した場所は歩き難く、すれ違いざまに買い物袋などがワンコに衝突していることもあります。

・歩道が無い、道幅の狭い場所

自転車やバイクとすれ違う時、運転手の注意は通行人である飼い主に注がれ、足元のワンコに気がつかないことがあります。猛スピードで飼い主の至近距離を追い越す瞬間に、ワンコはもちろんリードが車輪に絡まってしまうことによる事故が後を絶ちません。自転車やバイク、キックスケーターなどが背後や前方から近づく音は、ワンコに得体のしれない相手の存在を意識させ、不安や恐怖を与えます。

・自転車での散歩

自転車の前籠にワンコを乗せてのサイクリングや公園やカフェへ移動する行為は、転倒と同時にワンコが自転車の下敷きになったり、籠から投げ出されての大怪我につながります。自転車に乗せるときは、安全を考え、リュック型キャリーバックがオススメです。

散歩中はワンコから目を離さず、遠目や暗闇でもよく目立つ派手な色の洋服を着用する、LEDライト付きの首輪や反射材付きのリードやハーネスを着用するなどの対策で、身近に潜む危険からワンコを守ってゆきましょう

まとめ

いかがでしたか?役立つヒントは見つかりましたか?暑い季節のお出掛けは、ワンコの熱中症にも要注意です。遠出の際はワンタッチ組み立てのポップアップテントや冷却グッズなどを忘れずに持参しましょう。ワンコグッズ選びの際は、機能性はもちろんのこと、この季節だからこその夏らしい元気いっぱいなデザインも楽しみましょう。楽しみながらしっかり対策をして、安全で快適なお散歩ライフをお送りください。

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記事執筆&監修:
大谷幸代さんドッグトレーナー

大学在学中にイギリスへの短期留学を経験し犬とのライフスタイルを学びペットビジネスの世界へ。20年以上にわたり生体販売、トリマー、トレーナー、店舗開発、成田空港内ペットホテル開業にと従事。現在は3匹の保護犬と1匹の保護猫をパートナーにペット用品の開発、コラム執筆、専門学校講師として活動中。

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