元気いっぱい引っ張り癖!その対策方法

しつけ2020年4月27日by 大谷幸代さん

レオ&レアのお客様のワンコに関するしつけやお悩みについて、専門家の先生にズバり解決してもらおうというコーナー「専門家に相談! 犬のしつけ・お悩みQ&A」。

今回は、トイプードルやダックスによく見られる「飛びつき癖」に関するご質問にお答えします!元気いっぱいな愛犬に手を焼いている、思うようにしつけができないというお悩みを一緒に解決し、お散歩を楽しい時間に変えていきましょう。

【ご相談内容】

  • 質問者:トイプードルのJOYくんのご家族より
  • 愛犬:JOYくん(トイプードル/♂/9ヶ月)
  • 内容:お散歩中に犬はもちろんジョギング中の人や自転車へも飛びつき、追いかけてしまいます。リードを短く持ったり、道の端へよけたり、立ち止まらせたりといろいろな方法で教えているもののなかなか改善できません。時には後ろ足だけで立ち上がり飛びついたり、勢いあまって転倒してしまうことも・・・無駄吠えはなく、友好的な態度ではあるものの周囲への迷惑や危険、怪我なども気になり困っています。

対処法は大正解!今後はプードルならではの手法も追加

生後10か月のトイプードルにとって、JOYくんのような行動は決して珍しいことではありません。
今は身体的な成長を通じて日々の生活の中でプードルならではの好奇心の旺盛さと身体能力の高さを実感している真っ最中です。
かといって散歩中の危険行為や周囲への迷惑行為を見過ごす訳にもいかず、家族にとっては悩みの種でしょう。

散歩中のご家族の対応は大変素晴らしく、しつけの一般的な手法をしっかりと守られています。ただなかなか成果につながらない背景には、プードルならではの高い学習能力が関係しています。
プードルの様に知能が高い犬種には単にリードをコントロールする、力まかせに行動を制限するという方法では不十分です。
不意にリードをコントロールすることで、膝関節に弱点を抱えることの多いプードルは脱臼や怪我を追う危険性もあります。

知能が高いからこそ、
なぜそのような行動をしてはいけないのか?
どうすれば正解なのか?
を理解し、学習させるしつけがプードルには効果的です。
一見、難しいと思える手法ですが、プードルだからこそできる高度な手法です。お互いがこの手法のコツをつかむことで、今後はもっとスマートにお散歩ができ、お出掛けやレジャーも安心して楽しめるようになるでしょう。


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「×」だらけのお散歩になっていませんか?

毎日のお散歩を楽しめていますか?
今日もまた・・・と憂鬱な気分になっていませんか?
愛犬の飛びつきや追いかけ癖を想像し、ついリードを握る手に緊張が伝わっているのではありませんか?

犬は、家族の言葉や行動に無意識に表れている緊張や不安を敏感に察知しています。これはまだ9か月の子犬でも例外ではありません。

例えば

  • リードを短く持つ
  • 通行人や他犬を避け、立ち止まる
  • 道の端へよけ待機する

このような場面を振り返ってみましょう。行動に移す時、どんな「声かけ」をしていますか?

つい「ダメ」「止まって」とネガティブな言葉をかけてしまったり、咄嗟な場面であれば無言でリードを手繰り寄せてはいませんか?これはJOYくんに「」つまり「すべきでないこと、してはいけないこと」を教えています。
今後は「×」の代わりに「〇」、つまり「すべきこと、正しい行動、家族が望む行動は何か」を教えてあげましょう。

散歩中は、通行人や他犬などが前方から近づいてくることに家族が気が付いた時点で、
①道の端によけ、「お座り」と声かけをします
②お座りができた瞬間に大いに褒め「〇」であることを認識させます
③そのまま、数を数えたり、マテの指示を出し、通行人や他犬が通り過ぎるまで「お座り」を続けます
④歩き出す時は「OK」や「GO」といった新たな指示を出します

このように、どう対処すべきかを制御、抑制する「☓」ではなく「〇」で学習させていきましょう。「〇」であることを認識させるためには、笑顔・高い声・ジャスチャーで「誘導する」「大いに褒める」がポイントです。

これまでのご家族の対処法との違いは「タイミング」です。

JOYくんが飛びつき、追いかけをする前、その行動の兆候が現れる前に「声かけ」をして「〇」な行動へ誘導します。飛びつき、追いかけを始めてからの声かけでは「×」を意味します。

もし家族の声かけよりも早くJOYくんが行動を起こした場合は、これまでの対処法で正解です。
ただ今後は、JOYくんを「大いに褒める」ことを追加してあげてください。家族の声掛け、誘導にしたがって、待機が出来たり、お座りができた瞬間に「褒める」ことで、正しい行動が出来ているとJOYくんに認識してもらいます。

興味があることや追いかけたいという気持ちを抑え、家族の声かけに従うというJOYくんの行動は、大変素直で素晴らしいことだからです。

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JOYくんは、好奇心旺盛で社交的な性格ですから、今後は積極的に犬好きな方、他犬との交流の機会も持たせてあげたいものです。
そのような場面でも、あまりに積極的に距離を縮めてしまったり、無防備に他犬に近づくことでトラブルになることがあります。
JOYくんが立ち上がった姿勢をとると、相手の犬はマウンティングをされたと勘違いをしてしまい敵対心をみせることもあります。

家族以外に近づける時は、

  1. 相手から離れた場所でお座りをさせる(声かけにしたがいお座りができた瞬間に大いに褒める)
  2. 相手の様子を確認し、危険性がないと判断できるまでお座りを続ける
  3. OKなどの合図を出し、お座りを終え、ゆっくりと相手に近づける、もしくは相手から接近することをお座りのままで待たせる(友好的な態度で犬同士の挨拶ができた瞬間に大いに褒める)

遊びたい・近づきたいと思う相手に出会った時にどう対処すべきかを「〇」で教えることで、スマートに犬同士の関係性を築けるようになります。

しつけにお悩みの方の多くは、「×」ばかりを教えてしまい、「〇」を教えずにいます。
犬達は「〇」を手探りで探そうと自分なりの行動をとり、その結果、追いかけや飛びつき、中には無駄吠えへと問題が深刻化してしまうのです。

まだまだ子犬特有のやんちゃさが残る時期ですが、今が一番学習意欲に溢れている時期でもあります。何度教えても変化をすぐには実感できないでしょう。でも必ず成長とともに変化を実感し、しつけの成果につながりますのでご安心を。

今回のご相談から、ご家族が大変熱心にJOYくんのしつけに取り組まれているご様子がうかがえます。無駄吠えをしない性格から、これまでに十分な社会化トレーニングも重ねられてこられたのでしょう。
これからもっとJOYくんとのお散歩やお出掛けを楽しめるように、あと少しだけしつけのステップアップをしてみてください。きっと楽しい瞬間が増えるはずです。

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記事執筆&監修:
大谷幸代さん大谷幸代さんドッグトレーナー

大学在学中にイギリスへの短期留学を経験し犬とのライフスタイルを学びペットビジネスの世界へ。20年以上にわたり生体販売、トリマー、トレーナー、店舗開発、成田空港内ペットホテル開業にと従事。現在は3匹の保護犬と1匹の保護猫をパートナーにペット用品の開発、コラム執筆、専門学校講師として活動中。

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