動物福祉のために、私たちができること

レオ&レア2021年9月18日by レオレアスタッフ
プロフィール:
東京犬猫日和さん東京犬猫日和さん個人動物保護活動家

震災をきっかけに、動物保護活動を開始。2011〜2021年まで10年間、寄付に頼らず、自費活動。主に大型犬の老犬、傷病、負傷犬の看取り、また、犬猫に限らず、ヤギ、ウサギと幅広い動物の保護、里親募集を行ってきた。※2021年6月より本業専念のため保護活動を休止中。2022年5月、活動再開予定。

9月20日から26日の動物愛護週間。この機会に、愛犬との付き合い方から少し視野を広げ、動物愛護や福祉について考えてみませんか?今回WANTIMESでは、10年間に渡り個人動物保護活動家として最前線で活動されてきた東京犬猫日和さんに、日本の動物たちが置かれている環境やそれを取り巻く社会情勢、法整備の状況などについて伺い、インタビューの内容を記事化しました。私たちひとりひとりが、動物たちの幸せのためにできることを考えるヒントとなれば幸いです。

Q.個人で保護・看取り・里親募集と幅広く保護活動をされており驚きました。活動を始めたきっかけを教えて下さい。

2011年の東日本大震災がターニングポイントです。第一子の育休中で、そろそろ仕事に復帰しようと考えていた時期に震災が起こり、頭を殴られたようなショックを受けた事を覚えています。それまでは、仕事や家庭などに追われていたのですが、被災地の大変な状況をみて、何か社会貢献できないかと強く考えるようになりました。数多ある支援のスタイルや対象の中から、「被災犬」の受け入れを検討しました。家族と相談し、介護や飼育スペースの制限で引き取り手が見つかりにくい老犬や傷病犬、大型犬を優先して受け入れ、看取るという方針も決めました。

震災から2ヶ月後、当時、福島で被災した1,000匹以上のワンコたちを保護していた「みなしご救援隊」(拠点:栃木県)のもとへ家族で足を運び、里親として仔犬を引き取ったのを皮切りに、保護活動をスタートしました。原発のすぐ近く、福島県浪江町で野犬の仔犬として生まれた被災犬のフクは、現在も一緒に暮らしていて今年で11歳になりました。

福島からみなしご救援隊に保護されていた当時のフクちゃん(右)と一緒に保護された兄妹犬(左)。福島からみなしご救援隊に保護されていた当時のフクちゃん(右)と一緒に保護された兄妹犬(左)。
現在のフクちゃん。真っ黒だった口周りがずいぶん白くなりました。現在のフクちゃん。真っ黒だった口周りがずいぶん白くなりました。

Q.震災後、栃木県まで足を運び、保護活動を開始されたのですね。この10年間は、どのような信条で活動を続けてこられたのですか?

私の社会貢献、ボランティアの基本は「手弁当」です。寄付を募らず、受け入れ可能なキャパシティを客観的に把握しながら、家族でまかないきれる範囲での活動にこだわり、10年間続けてきました。被災犬の里親からスタートした保護活動ですが、猫やうさぎ、大型犬の看取りや受け入れにも携わっています。1匹1匹、大切な命を預かる活動ですから、動物たちとの暮らしの途中で「餌が足りません」「病院に連れていくお金がありません」といった事態が起こることは避けなければなりません。縁があった動物たちの末永い幸せのため、不確定な要素はできるだけ排除しようと考えた結果が、自費かつ個人での、”身の丈にあった活動”でした。

多頭飼育崩壊から保護したウサギから生まれたマーブルちゃん(左)と
宮古島の畑に遺棄されていたぴょんきちくん(右)多頭飼育崩壊から保護したウサギから生まれたマーブルちゃん(左)と 宮古島の畑に遺棄されていたぴょんきちくん(右)

里親募集活動で動物を譲渡をする際には、譲渡先のご家族との信頼関係を大切にしています。紙切れ1枚の契約で済ますのではなく、継続的なコミュ二ケーションが確約できる方に譲渡をおこなっています。譲渡時には飼育環境が条件を満たしていても、経済的な事情、病気、思いもよらぬ事故や災害などから生活が変化することがあります。そんな時、支え合えるように、何でも相談してほしいと考えているからです。

未来を予測しながら手持ちのリソースで保護活動の質を保ち続ける努力を続けることは、会社経営に似ていると思っています。当初は5年間を目途に活動に区切りを付けようと考えていたのですが、多くのご相談を頂いたことや、素晴らしいボランティア仲間や獣医師様の協力もあり、10年間活動を続けてきました。

Q.ぶれない運営方針ゆえでしょうか、東京犬猫日和さんのInstagramには穏やかな表情の動物たちで溢れていますね。運営を続けるうえで苦労した点があれば教えてください。

さまざまな価値観の人々との折衝です。保護を必要とする動物の問題の多くが、人間起因で生じています。ゴミ屋敷・多頭崩壊・ネグレクト・虐待などからのレスキュー活動はその最たる例です。

東京犬猫日和では、「炎天下なのに外飼いの犬が近所にいてかわいそう、どうしたらよいでしょうか?」といった相談もよくうけます。昨今、ペットの室内飼いがトレンドとなっていますが、番犬文化が根付いている日本では、昔ながらの外飼いを良しとしている方もいらっしゃいます。

健康維持のための通院や予防接種の義務化、食事の内容・与え方の多様化など、ペットを取り巻く環境は半世紀でめまぐるしく変化してきました。飼育に対しての価値観が人によって異なる中、ケースごとにレスキュー介入ラインの見極めをおこなう必要があり、難しさを感じます。また、レスキュー対象となった動物の飼い主の説得のためには、更に踏み込んだコミュニケーションが必要で、一筋縄ではいかないことがほとんどです。

自分の正義感や価値観が常に正しいとは限らないという前提の中、相手に寄り添いながら、同時に行政とも連絡を取り合います。

動物たちにとって最善の選択を話し合いながらレスキューをすすめますが、悪質な場合には動物愛護法違反や狂犬病予防法違反で警察へ告発という手段を取ることもあります。とても骨の折れるプロセスです。

※東京犬猫日和さんのInstagramアカウントはこちら

ネグレクトにあっていたラブラドールのルルちゃん(保護時)ネグレクトにあっていたラブラドールのルルちゃん(保護時)
現在12歳。余生を謳歌しています。現在12歳。余生を謳歌しています。

Q.長きに渡っての精力的な活動に敬服します。動物たちを取り巻く環境には、どんな変化がありましたか?

正確さには欠けるかもしれないですが、インターネットやSNSで素早く広範に、誰もが自由に情報発信できるようになったことで、ボランティアへの参加者や関心を持ってくださる方が増加したことを体感しています。動物愛護団体の活動内容も多様化し、情報発信やレスキュー方法、資金調達方法についても選択の幅が広がりました。また、2016年に小池東京都知事を始めとし、各都道府県知事が公の場で「殺処分ゼロにしましょう」と立ち上がったのも大きな変化だと感じています。日本は地方分権ですから、国で制定された法律も、自治体が本腰を入れて運用をしなければ形骸化してしまいますが、東京都、神奈川県、熊本県などでは殺処分ゼロを達成しました。

元飼い主に遺棄され放浪、保健所に捕獲されたラブラドールのトミーくん元飼い主に遺棄され放浪、保健所に捕獲されたラブラドールのトミーくん
フィラリア症末期とわかり里親を探さず、我が家で看取りました。フィラリア症末期とわかり里親を探さず、我が家で看取りました。

一方、現在は保護ブームともいえるような状況で、その本質を考えることをせず漠然と行動する方が出てきたなという問題意識も持っています。「近所をふらふらしている猫がいて、なんとかしてあげたい。健康状態は悪くなさそうなのだが、このままでいいのでしょうか?」「野犬を助けてあげてください」というような相談がその例です。善意のもとの問い合わせですし、とてもありがたいのですが、具体的に「どのような種類の助けが必要か」の意見をもつところまで皆が考えていけるようになるともっとよくなるのにな、と思います。「自分は動物を助けらないけれど、あなたなら助けられるでしょう?助けてよ!」というような、人任せとも捉えられる保護活動も多いと思います。1つの命を助けるためには、保護の緊急度や必要なサポート方法、医療費の負担、預かり場所やケアする人員の確保まで検討し行動しなければなりませんし、その上で根本的な問題解決も図らなければなりません。

餌やり問題も漠然とした行動のひとつです。かわいい、かわいそうだからと餌をやる方がいれば、そこに動物が集まり、糞尿問題や繁殖につながります。そして餌やり行為を「保護活動」だと考えている人もいます。世の中、動物を好きな人ばかりではありませんし、難しいですね。

1人1人が「助ける」とはどういうことなのか、もう1ステップ深く、先々のことまで考えて行動するようになれば、有限である時間や人手を効率的に使いながら、動物たちが置かれている状況をよくするための議論ができるようになっていくと思います。

Q.2016年、2019年には動物愛護管理法の改正があり、大きな話題となりました。今年の6月には数値規制が施行されましたが、実態はいかがですか?

動物愛護管理法の改正により、第1種動物取扱業だけでなく、第2種動物取扱業にも規制が広がりました。これにより、以前は規制の対象外であった動物保護団体にも規制が及びました。劣悪な環境で保護活動をおこなう団体の運営是正もつながりますし、気運の高まりのみならず法整備の面でも前進できたことは評価できます。

直近の数値規制の施行において忘れてはならないのは、第1種取扱業を営む繁殖業者が沢山の動物を手放し、ボランティアや保護団体での引き取りが増加しているという事です。加えて、「殺処分ゼロ」政策の一部で、殺処分を逃れた動物たちが保健所から保護団体の手へ渡っていることも忘れてはならないと思います。

「これって本当に助かったんだろうか?」ということです。

大量の飼い主がいない動物たちが、保護団体などの民間に流れてきた結果、命を保護する立場にあるはずのボランティアが多頭飼育崩壊を起こしてしまったり、動物愛護管理法違反で逮捕者が出るような本末転倒の事態も発生しました。これは氷山の一角で、現在進行形で崩壊予備軍の保護活動者や団体がいる可能性があることも、頭の片隅に置いておかなければなりません。

また、ペット業界にも変化がありました。これまで「保護動物」は、保健所に収容されていた動物やネグレクト、飼育放棄によるものが多くを占めており、ボランティアは保護にかかった実費や医療費を、譲渡金として新しい里親から受け取っていました。しかし、法規制が整うに従い、繁殖引退動物(※交配年齢は6歳以下)や販売ルートから外れた、障害のある純血種だけを専門に扱う保護団体が出てきました。繁殖業者みずから「動物保護団体」を立ち上げ、これまでは処分していた動物を名目上「保護動物」とし、里親に譲渡するスタイルです。譲渡金の詳細を不明瞭にしたまま、状態が悪い動物を販売するルートが新たにできたともいえます。これが良いか悪いかは私には一言では申し上げられませんが、新しい形ができてきた事は確かです。

京都の個人ボランティア崩壊現場から生きて保護された犬。自宅からは犬猫の死骸が数十頭以上見つかった。京都の個人ボランティア崩壊現場から生きて保護された犬。自宅からは犬猫の死骸が数十頭以上見つかった。

Q.動物たちをとりまく環境、まだまだ改善の余地がありそうですね。私たちが普段からできることには、どんなことがあるでしょうか?

1人1人が動物保護や福祉が抱える課題を社会問題として認識し、自分の考えを持ち、自発的に行動することだと思います。行き場のないたくさんの動物たちを作り出してしまった責任は、遠くの他人にあるのではなく、「私たち」にあることを自覚しなければなりません。

ペットを家族の一員として受け入れる事を検討する際は、家族でよく話し合い、環境が整っているか、何年も先のことまで考え経済的に余裕があるか、災害時に一緒に避難ができるか、自分の年齢や迎える動物の寿命を考えて家族や周囲の同意が得られるか、など真剣に向き合って考えることです。動物愛護管理法や、自分が住む地域の条例について調べ、飼い主の果たすべき適正飼養への義務や罰則を復習するのもひとつです。このような行動は日本全体の動物福祉の向上に寄与し、人も動物も幸せに過ごせる日々の実現を近づけるのではないでしょうか。いつかそんな日々が訪れ、「動物保護」が不要となることを、心から願っています。

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