子犬を育てる上での基礎知識の全3回シリーズ。第3回(最終回)は、子犬のメンタルについてです。
子犬は、元気に遊んでいてカラダの調子が良さそうにみえても、不意に食欲が不安定になってしまうことがあります。なぜなら子犬は生活環境の変化にストレスを感じやすいからです。家族が子犬のメンタルを理解しておくと、愛犬の不安や不調をスムーズに解消できるようになります。
親代わりとなったからこそ家族が担うべき役目
生後間もない子犬を家族に迎え、これからは自分が親代わりとなって大切に育てていくと心に決めたのではないでしょうか?でも親代わりになるということは、必ずしも子犬を守るばかりではいけません。なぜなら母犬はそのような気持ちで子犬と接していないからです。
母犬は子犬に元気に安全に暮らしてもらうために、生後一か月の離乳期を目途に自立を促します。子犬が母犬を求めて大声で鳴き叫んでも母犬自ら駆け寄ることはありません。子犬が寄り添い眠りたいと体を近づけるとあえて立ち上がり、離れた場所へ移動してしまうこともあります。時にはじゃれつく子犬を厳しい声色で叱りつけることもあります。
周囲で見ていると、母犬の態度の変わりように切ない気持ちすら感じます。でも母犬は子犬の成長を何より考え案じています。いつまでも甘えるばかりではなく自立するよう促しているだけにすぎません。一見厳しいばかりに見える母犬も、子犬が危険を伝える声を上げれば瞬時に駆け付け、子犬を守りぬきます。
子犬を家族に迎えた後は、子犬がこれから人間社会でスムーズに安全に暮らせるように時に厳しくしつけをし、危険からは守り抜くよう心がけてゆきましょう。
過保護が招く社会化不足というメンタルの問題
生後間もない子犬にとって、社会のすべてが未知の世界です。些細な物音に驚いたり、過剰な反応を見せることもあるでしょう。せっかくの散歩やお出かけもなかなか歩くことができず、家族に抱っこをせがむのではないでしょうか。
何とも愛おしい姿ですが、ここで家族が子犬を抱きかかえ、甘やかすばかりでは子犬はメンタル面での自立ができず、いつまでも家族に依存し続けてしまいます。
子犬は物音や周囲の存在を怖がっているのではなく、警戒しているにすぎません。この違いはとても大きな意味があります。警戒しているということは相手を正体不明な存在と受け止めているというです。
でも家族が寄り添いながら子犬と共に経験を重ねることで次第に子犬は恐れる必要がない相手や状況だということを学ぶことができます。
怖がり、足を震わせる子犬に経験を積ませることは簡単なことではありません。家族にも根気強さが求められます。焦って無理強いをするとますます子犬の恐怖心を招いてしまいます。子犬のペースに合わせながら、社会化経験を積み子犬の余計な警戒心を払拭できるよう過ごしてゆきましょう。
子犬にありがちな一心同体という勘違い
生後2か月前後に母犬から離れ、新しい家族の元へ迎えられた子犬にありがちな勘違いに一心同体という思い込みがあります。本来であれば自立を促されるはずの時期に、甘えることが許され、どんな場面でも保護してもらえると学ぶと子犬は家族と自分自身が別々の存在であるということを理解できません。
この結果、分離不安というメンタルの問題を抱えてしまいます。家族の存在が常に視界にあること、常に家族のぬくもりを感じていることでしか安心を得られません。当然留守番やペットホテルはもちろんトリミングや動物病院の診察でさえ家族が同席でなければ不安に包まれてしまいます。
愛犬にとってこのようなメンタルは多大なストレスになり、決して快適な暮らしとはいえません。もちろん家族にとっても同じことです。
家族が終日在宅をしているから、かわいい子犬と過ごしたいからという気持ちを時には抑え、この時期だからこそ必要な社会経験や自立を子犬に促してゆきましょう。
まとめ
- 家族は親犬の気持ちで子犬と接しましょう
- 過保護は子犬の社会化不足を招くので要注意
- 分離不安にならないよう友達をたくさん作りましょう
子犬を家族に迎えると毎日の生活にたくさんの笑顔が溢れますね。スクスクと育つ大切な時期だからこそ不安や疑問を解消して楽しい時間を過ごしてゆきましょう。
参考記事: