犬の視覚については長年研究が続けられていますが、白黒に見えるのか、視力はどのくらいかなど不思議がいっぱいです。この記事では老犬ケアやトリマー、ペット栄養士など多数の資格をもつ専門家の大谷幸代さん監修のもと、犬の視覚の基本と老化による機能低下への対策について解説します。
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色も見えている!研究がもたらした嬉しい発見
犬の視野は人間よりも広く、正面を向いたままで斜め後ろまで見渡すことができるため、狩りや危険を素早く察知するのに一役かっています。一方で視力は弱く、近い距離にあるものはぼやけてみえているため、優れた嗅覚や聴覚からの情報で補い、認知の精度を高めています。
これまで大半だった犬からみえる世界は白黒であるとの見解も、近年の研究により黄色や青など一部の色を見分けることができるという説が有力となっています。犬は生活に必要な情報の6割を視覚に頼っているという説もあり、そのため家族と似た背格好や服装の他人に嬉しそうに飛びついてしまったり、買い物袋を見ただけでオヤツと期待し喜んだりするといわれています。
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加齢と共にトラブルが増える犬の目
多くの情報を収集し、喜怒哀楽をもたらしてくれる視覚ですが、6歳を過ぎると徐々に機能を失い始め、愛犬の動きに以下に挙げるような変化が起こることがあります。
- 住み慣れた家で、家具や壁にぶつかる
視力が低下することで正確に物の輪郭を把握できなくなり、距離感がつかめないためです。
- 初めて訪れる場所で戸惑ったり、臆病な態度を見せる
情報収集が十分にできず、周囲への不安や緊張を感じているためです。警戒心が強くなり、攻撃的な態度をみせることもあります。
- 目が白く濁る
白内障や緑内障などの症状の1つで視界に白い靄(もや)がかかります。痛みはありませんが、日常生活に不便や不安を感じることが増えます。
加齢による視覚機能の低下を防ぐ方法はなく、徐々に視野は狭くなり、視界はぼやけ、完全に視力を失う事もありますが、嗅覚や聴覚など他の感覚機能で補填することができるため、悲観しなくても問題ありません。
嗅覚に聴覚!優れたワンコたちの感覚機能
- 嗅覚
犬は嗅細胞が人間よりも多く、些細な香りの違いを嗅ぎ分けられます。警察犬や麻薬探知犬など、特殊な訓練を受けた犬はこの能力を存分に発揮し、空気中に漂うわずかな臭いを逃さずに感知できます。
- 聴覚
数km先の草むらを走るウサギやキツネの僅かな足音や、人間では聞き取れない音域も、犬の聴覚では感知できます。犬は様々な音域の他犬の声色を聞き分け、対応するように鳴き、コミュニケーションをとっています。
視覚機能が低下しても、歩きなれた散歩道や家の中であれば、空気中に微かに漂う香りや家族の声の反響を頼りにスムーズに歩いたり時間を過ごすことができます。
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優れた感覚機能を持ってはいるものの、視覚機能の低下が気になり始めたら、以下の方法で犬が安心して暮らせる環境作りを始めましょう。
- 散歩中やお出かけ先で、初対面の人・犬に無暗に近づけない。
- 散歩ルートを、段差や騒音がなく、車・自転車の交通量の少ないルートへ変える。
ストレス源となり得る対象から距離を置くことで、愛犬が不安や恐怖を感じることなく安心して外出を楽しめます。
- 玄関や階段にゲート(安全柵)を設置し、犬が近づけないように工夫する。
加齢とともに増える、階段や玄関などからの落下事故を防ぐことができます。
目元のお手入れは正しい方法で!
犬の目は繊細で傷つきやすく、丁寧なお手入れが欠かせません。目元の毛が延び、毛先が眼球を刺激し続けると、眼球に細かな傷ができて涙の量が増えることがあります。また、食事や年齢、生活環境が原因で目ヤニや涙焼けが悪化することもあります。クリアな視界を維持できるよう、パピーからシニアまで、丁寧でこまめなお手入れは欠かさないようにしましょう。
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ワンコが目元のお手入れを嫌がるのは、わがままでも、しつけの失敗でもなく、習性の1つです。苦手意識の強い目元のお手入れを無理強いしてしまうとトラウマになってしまうこともあるので、目元のお手入れが楽しい時間になるよう、先にオヤツを与え、ご機嫌に過ごしている間に手早くお手入れを済ませてしまいましょう。
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まとめ
犬は暮らしに必要な情報収集の大半を視覚に頼っています。丁寧なお手入れを習慣にし、ワンコたちの視界を良好に保ちましょう。加齢による視力低下が気になり始めたら、聴覚で楽しめる音の出るオモチャや嗅覚を刺激してくれるオヤツの活用でワンコたちの生活を彩ることもオススメです。