テレビを見ているとき、あなたの愛犬が隣でテレビを一緒に見ていたなんて経験ありませんか?
実は、犬も私たちと同じようにテレビに映るものを理解できるんです。例えば、初めて見る動物でも画面上で認識できたり、テレビから聞こえる犬の鳴き声も認識することができます。
なぜ犬もテレビを見るの?
2013年に「Animal Cognition」誌に発表された研究結果によって、犬は人間や動物などの様々な写真の中から、犬の写真を視覚だけで選び出せることが明らかになりました。
しかし犬と私たち人間では、テレビ映像の認識の仕方にいくつか違いがあります。
まず、犬の目は私たち人間よりも素早く映像をとらえます。そのため、最近のテレビと比べて1秒あたりに切り替わる画像数が少ないブラウン管テレビは、犬には点滅しているように見えています。(マサチューセッツ州タフツ大学獣医行動学者ニコラス・ドッドマン教授)
また、犬は二色型色覚なので、黄色と青の2つの原色の範囲のみが見えています。一方で、人間は3色型色覚であるため、すべての色を見ることができるのです。(ビンガムトン大学の「Ask a Scientist Web参照)
なぜ犬はテレビに反応するの?
生物学とは別に、犬がテレビを見て反応するのには、犬種や性格などが関係しています。走り回ったり、吠え始めたりするなど興奮する子がいる反面、逆にあまり反応を示さない子もいたり、反応は様々です。
ドッドマン教授は「人間と同じように、犬によって性格は異なる」と述べています。縄張り意識が強い犬や攻撃的な犬もいれば、弱気だったり、シャイな犬もいます。人間が好きな犬もいれば嫌いな犬も。十人十色です。
テレビを見ている犬が、テレビの中で吠える犬の声を聞いて、興奮することがよくあります。 テレビに向かって吠えるだけでなく、テレビの後ろに回って、相手を探すしぐさを見せることもあります。
一方でドッドマン教授は、「テレビに対する反応が鈍い犬もいる。テレビで犬を見ても、それはテレビの中にいるだけだと認識しているようで、実際に歩き回って探してみたりはしない」と指摘しています。
犬種の違いは、テレビに対する反応に影響するかもしれません。匂いに駆り立てられる猟犬は、視覚にはそれほど興味がありませんが、テリアなどの繁殖種は、小さな画面に映し出されるものの動きから、より刺激を受ける傾向があります。
アメリカに「犬専用チャンネル」があるって知っていましたか?
DogTVは、犬のために放送されているケーブルチャンネルです。このチャンネルでは、1秒あたりに切り替わる画像数が通常よりもはるかに多く、犬の二色型色覚に合わせて特別に色分けされています。
DogTVにはリラックス用のモードがあり、草原で犬がなごんでいるような映像や、南カリフォルニアで犬がサーフィンをしているシーン、また家のドアベルに反応したり、家族の指示に従うシーンなどが映し出されます。
このように、犬も同じようにテレビに反応するのです。テレビを観ているときは、あなたの愛犬の反応を観察してみてください。愛犬の意外な一面が見つかるかも!?
またワンコをお留守番させなければいけない時、寂しくならないようにテレビをつけておいてあげるのもひとつの手です。ニュースより動物の番組の方が良いかもしれませんが、ワンコも人間と同じで“ながら見”しているので、あまり気にしなくても大丈夫!
「たとえ興味のある内容の番組でも、数分見たら目をそらしてしまうもの。それでも、飼い主がいない間、ずっとグルグル回っているよりはマシだ」とドットマン教授もおすすめしています。
参考:
https://www.sciencedaily.com/releases/2013/02/130214103703.htm
http://www.binghamton.edu/mpr/ask-a-scientist/entry.html?id=61