人気犬種ランキングの常連といえば、柴犬ですね。かわいらしい写真が盛りだくさんな専門誌の発売や柴犬をモチーフとしたグッズの多さからもその人気ぶりが感じられます。
しかし実際に柴犬と暮らしはじめてみると、噛み癖や絶叫といった想定外の問題に直面してしまうことが多くあります。家族に絶対的な信頼を寄せ、日本犬特有の丈夫な体を持つ柴犬と、どうしたら穏やかな暮らしを送ることができるでしょうか?柴犬の特徴と噛み癖について詳しく説明します。
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日本犬だからこその性格や特徴
日本犬特有の性格をもつ柴犬
柴犬と暮らす上で常に意識しておかなければならないポイントは、日本犬特有の性格をもっているということです。
- 屋外で綱につながれ生活をする。
- 家族を守る番犬としての役割を果たす。
- クマなどの野生動物から家畜や家屋、家族を身を挺して守る。
- 家族以外には愛情や信頼を示さない。
歴史的にこのような生活様式のもと過ごしてきた柴犬。
室内飼いが当たり前となり、一昔前に比べ体格も小さくなり、性格も温厚で無駄吠えも少なくなり様々な変化が見られますが、本来の日本犬特有の性格は受け継がれています。愛想の良さや無条件の社交性を備える洋犬と比べ、柴犬は警戒心が強く内向的です。
柴犬を家族に迎えることを検討する際は、このような性格を理解したうえで暮らし方を考えてゆくことが大切です。
散歩中やドッグラン、犬連れOKなカフェのテラス席で見知らぬ人が無暗に近づけば柴犬は静かな警戒心を漂わせ、家族を守ろうと待機姿勢を取ります。ドッグランではひとり遊びを好み、相性の合う犬以外には見向きもしません。まるで存在に気がついていないような態度を見せることもあるでしょう。この行動や態度こそが日本犬らしさであり、柴犬の魅力です。
家族と深い信頼関係でつながること、お互いが相手の存在を常に意識し、ともに過ごす空間では思い切りリラックスして甘えた時間を過ごすことが柴犬の望みなのです。
独立心の強さとツンデレな気質で海外でも大人気!
柴犬を始めとする日本犬は50年以上も前から海外で人気を博し、なかでも小型の柴犬は大変な人気ぶりです。
海外にも柴犬と同サイズの犬種や、似たような外見を持つ犬種は数多く存在するのですが、柴犬がここまで人気である理由は、日本犬特有の性格からです。独立心が強く、落ち着きがあり、家族以外には見向きもしないその忠誠心が高く評価されています。
家族にだけ見せる愛情や信頼、甘えた素振りはお互いのつながりの強さを実感でき、飼い主は至福の時を感じられるものです。
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ハグをする?それとも握手?相手との距離感は犬種によって多種多様
柴犬の性格を知るとなんだか素っ気ない、愛想が無いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、日本犬と洋犬の違いを私たち人間に置き換えてみるとスムーズに理解できるかもしれません。
私たちは親しい相手や友人に会った時、会釈や握手はするもののハグやキスをすることはあまり多くないでしょう。しかしハグやキスといった挨拶や愛情表現がごく一般的である国もあり、屋外でもオープンに愛情表現がかわされている風景を思い浮かべることができますね。
柴犬が散歩中に他犬や親しい人に見せる態度は決して素っ気ないからではなく、家族の行動を真似ているにすぎません。
どんなに笑顔で高揚した声で会話を交わしていても家族が相手と一定の距離を保ち接していたり、会釈や握手で済ませているのですから、柴犬も他犬や親しい相手と会った時に挨拶はするものの体が触れ合うほどの至近距離までは接近しません。
一方の洋犬は、家族の行動を観察しながら親しい相手とは体を密着させて挨拶をするものだと学習をしています。
このような文化の違いを知ると、柴犬の仕草や態度は素っ気ない、愛想が悪いからではないということが理解できますね。素朴な外見、朴訥とした雰囲気、すべてが柴犬の魅力です。
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甘噛みは生後3か月まで!噛みつきは癖でなく異常行動
お互いのことを思いやりながら、さりげなく愛情を伝え、穏やかな生活が続く柴犬との暮らしにも困りごとはあります。
柴犬は持ち前の体の丈夫さと頑固さ、諦めることを嫌う性格から子犬期の甘噛みや成長後の噛み癖が深刻化しがちなのです。
番犬という役割を期待された歴史があることからもわかるように、柴犬は噛みしめる力が強く、多少のことでは一度くわえた物を放しません。
特にイタズラ盛りの子犬期はこの傾向が強く、家族が厳しく叱ってお尻を叩いたり、無視をしたりと試行錯誤をしてもまるで効果が無いでしょう。
この、”甘噛み”をある程度許容ができる期間は生後3か月頃までです。
この頃までは乳歯の生え変わりがあり、歯茎のむずがゆさや不快感、ストレス、身体的な成長を実感する時期でもあり、手当たり次第に目の前の物や人、犬にも噛みつきます。
この行動は、歯の生え変わりと共に自然と解消され、噛みつく時の力加減や状況判断を身に着けてゆきます。
家族を身を挺してまでも守る柴犬が大切な家族に本気で噛みつくという行為は、本能に逆らった異常行動でしかありません。
本能に逆らい条件反射的な噛み癖を起こしてしまった時、柴犬自身もパニックや自己嫌悪を感じています。
このような問題は接し方を間違えるとますます悪化する一方ですから、正しい接し方で改善を目指してゆきましょう。
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成長フェーズ別、柴犬の噛み癖対策
生後3か月未満 子犬期
この時期の甘噛みに効果的な対策は、成功体験を積ませないことです。
- 人の手や足を噛んだとき、家族が自分に関心を向けてくれた。
- カーペットを噛んだとき、家族が家事の手を止め、駆け付けて関心を向けてくれた。
- 他犬を噛んだとき、相手が降参の態度を示し、自分の強さを実感できた。
など、様々な成功体験を積むことで誤った方向に精神的な成長が進んでゆきます。
犬同士の上下関係や力関係と無縁で適切な指導を受けることの無いまま唯我独尊の暮らしが続けば、些細なストレスや不快な瞬間があれば噛みつく、絶叫するという方法で拒絶の意思をアピールするようになります。
この時期、家族がとるべきしつけ法は以下4点です。
- 家族の手や足でじゃれ合い遊ばせない。
- 一度決めた禁止事項はブレずに実行する。(柴犬は家族に忠実で深い愛情を示すからこそ、家族の戸惑いやしつけ手法のブレも敏感に見抜きます。)
- 家族以外の人間(獣医師、トリマー、トレーナー、近隣の人)に触れてもらったり、抱っこや散歩をしてもらう機会を作る。
- ドッグランや犬の幼稚園など他犬とじゃれ合い遊べる環境にこまめに足を運ぶ。
世の中には自分よりも強い相手がいることや、正しい挨拶の仕方、遊び方を身に着けることで犬同士で良い関係性が構築できることを学ばせるなど、積極的に子犬に社会化経験を積ませてゆきましょう。
時には他犬から強い態度で抑え込まれたり、威嚇されることもあるでしょう。
この経験を重ねることで噛みついてはいけないことや力加減、周囲との付き合い方を身に着けることができます。
噛みつく瞬間の力加減や手加減の度合いは犬同士でなければ教え合うことができません。
子犬期の甘噛みは家族だけで解消できる問題ではありません。家族以外の人、犬、環境の協力を得ながら育ててゆきましょう。
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生後3か月以上 成長期・成犬期
この時期の子犬は生涯のなかで最も成長を実感しています。人間であれば15~18歳です。一気に体が大きくなり、筋力も増えこれまでできないと思っていたことが簡単に出来るようになります。
散歩に連れ出すと他犬に挑むような態度を示したり、マーキングを盛んにし始めるのもこの時期です。世の中には自分以上に強い相手は居ないと思い込んでいます。
人間同様、犬にも反抗期が訪れ、甘噛みが一層強くなったり、室内での無駄吠えやイタズラ、トイレの失敗と家族を悩ませることも多くなります。
将来の噛み癖を予防するために大切なことは、この時期の噛み癖はすでに甘噛みではないということを家族が認識することです。
すでに乳歯は生え変わり、家族や周囲に噛みつく必要性はありません。この時期の噛みつきは単に自己主張であり、癇癪でしかありません。
この噛み癖を家族が見過ごし、誤った対処を講じると一生続く噛み癖になるので注意しましょう。
この時期、家族がとるべきしつけ法は以下4点です。
- 体罰や激しく叱るなど柴犬を追い詰める接し方をしない。
- 苦手な行為を無理強いしたり、力任せな解決法を取らない。
- 家族以外の他人や他犬と距離を取り、周囲と遮断した生活環境を作らない。
- 様々なしつけ法を取り入れず、専門家に相談の上一環したしつけ法で解決を目指す。
成長を実感し血気盛んな柴犬は家族と対等に向き合い、家族の中でも最強の存在になろうと考えます。
特にオスはこの傾向が強くみられますが、これは番犬という役目を担ってきた犬だからこその本能です。自分が強くあることが家族の安全につながるからです。
メスの場合、強くあることが安全な子育てを実現するうえで必須条件になります。それぞれが自分の本能に従い、成長を遂げようともがいています。
家族として室内で共に暮らす現代の柴犬にこのような野生の本能を発揮する場面はなかなかありませんから、その本能を発揮する必要性がないことを根気よく家族が教えてゆきましょう。
噛み癖は加齢と共に悪化することが多いので、しつけの難しさや気になる行動があるときは専門家に相談しながら、柴犬との穏やかな暮らしを実現してゆきましょう。
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