季節の変わり目は要注意!犬の体調の変化を読み取ろう

健康2020年10月8日by 大谷幸代さん

最近、愛犬の元気がなかったり、食欲がなかったり。
実はこのような犬の体調不良は、「天候の変化」が関係していることがあります。気温や気圧・湿気などが大きく変化する季節の変わり目は、愛犬もナーバスになりがちです。そんな季節の変わり目の、家族の接し方や注意点についてご説明させていただきます。

季節の変わり目に起こる食欲減退

厳しい夏の暑さが終わり、徐々に過ごしやすい季節が訪れます。この時期、愛犬と一緒に公園へ出かけたり、紅葉を眺めに出かける方、レジャーの計画をと考えている方も多いでしょう。でも最近愛犬の食欲にムラがある、食べ残すことが多い、まるで食事を口にしてくれないと気にかかってはいませんか?

実はこの時期、メスは食欲が減退しがちです。その理由はこの時期は本来であれば繁殖期にあたるからです。野生環境で暮らす犬や未避妊の場合、繁殖期の直前は食欲が減退することがあります。

その後、妊娠、出産、育児の期間は日ごろの倍以上の食事を必要とするので、この時期の食欲減退は一種の生理現象であり、病気ではありません。

犬は季節の変わり目を気温や日照時間で感じ取り、体調の変化が起こります。この変化はすでに避妊手術を済ませている場合でも起こることがありますが、一時的な物であって、さほど長引くものではありません。

愛犬の食欲減退も過度に家族が不安になったり、新しいフードに切り替えたりとするのではなく、そっと見守り、いつもと同じ食事、生活を送り自然と愛犬の生活リズムが整うよう考えてあげましょう。

季節の変わり目に起こる食欲増大

季節に変わり目に食欲が減退する犬がいる一方で、逆に食欲が増大する犬もいます。この変化も野生環境下での名残りです。野生環境下では、「季節が変わる」ということは、「これから寒さが厳しい季節が訪れ、毎日の食事に困る生活が始まる」というサインです。

そのような季節を何とか乗り越えようとあえてたくさんの食べ物を摂取し脂肪を蓄えようと生理現象的に体が行動してしまうのです。

これは私達の「食欲の秋」と同じ現象ですが、ペットとして暮らす犬はたとえ冬になっても日々の食べ物に困ることはありません。つまりこの時期にたくさんの栄養を摂取する必要はないのです。愛犬の食欲増大に気が付いても、食事を増量する必要はないので、これまで通りの食事量を続けてゆきましょう。

ただこの時期は、これまで通りの食事量を続けているにもかかわらず体重が増加することがあります。これは生理現象の一つで寒さをしのぐために脂肪を蓄えてしまっている結果なので、あえてダイエットをさせる必要はありません。

実は夏だけではない”夏バテ

このところの夏の暑さは犬達に想像以上のダメージを与えています。たとえ室内はエアコンで室温が管理されているといっても、朝夕の散歩で体力を消耗してしまう生活が続いていたでしょう。

夏の暑さによるダメージは暑い季節を過ぎてもすぐには回復せず、その後数週間、数か月と不調が長引くことがあります。愛犬の食欲がない、散歩に行きたがらないと気が付いた時は、無理をさせずに愛犬に任せてあげることも必要です。

季節が変わり、過ごしやすくなることで自然と回復に向かうでしょう。もしも体調不良が長引く場合や日を追って体調の低下が進む場合は動物病院を受診しましょう。

散歩時に挙動不審や過度な興奮といった変化が起こることも

季節の変わり目は犬にとって繁殖期でもあります。日ごろ歩き慣れた散歩道や通い慣れたドグランで愛犬が落ちつきのない仕草を見せたり、突然走り出すなどの行動を見せる場合があるのでくれぐれも注意しましょう。

未去勢、未避妊の犬や猫の存在を愛犬が察知することで思わぬ事故につながる場合があります。寒さを感じる季節が訪れるまでは愛犬との外出には注意が必要です。

愛犬が過度に興奮してしまう場合は、一時的に散歩ルートを変えるという方法も効果的な安全策です。

抜け毛ケアで快適さがアップ

夏が終わり秋になるタイミングで犬は換毛期を呼ばれる被毛の生え変わりの時期を迎えます。夏用の細く風通しのいい被毛が抜け落ち、寒い季節を乗り切るための綿毛のような被毛に生え変わります。

本来であれば自然環境下での暮らしの中で夏用の被毛は自然と抜け落ちますが、室内生活ではなかなか生え変わりが進まなかったり、冬に夏用の被毛が生えそろうという逆転現象が起こることも珍しくありません。

抜け落ちずに体に残った抜け毛は皮膚、被毛の通気性を低下させ、愛犬に不快感を与えています。

抜け毛をスッキリ取り去るためには、トリミングサロンを利用し大型ドライヤーとプロの技術でお手入れをしてあげましょう。この方法で過ごしやすさがアップすることで愛犬の体調も改善に向かいやすくなります。

まとめ

季節に変わり目は原因不明の愛犬の不調が気になると動物病院を受診される方が大勢います。でも犬の習性や体調の変化の周期や理由をあらかじめ知っておくと、家族も安心して過ごすことができるでしょう。

この時期の愛犬は自分自身でも原因不明の体調不良に悩んでいます。無理をさせたり、生活に変化を加えるのではなく、そっと見守ることを優先して考えてあげましょう。

記事執筆&監修:
大谷幸代さん大谷幸代さんドッグトレーナー

大学在学中にイギリスへの短期留学を経験し犬とのライフスタイルを学びペットビジネスの世界へ。20年以上にわたり生体販売、トリマー、トレーナー、店舗開発、成田空港内ペットホテル開業にと従事。現在は3匹の保護犬と1匹の保護猫をパートナーにペット用品の開発、コラム執筆、専門学校講師として活動中。

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