専門家に相談!生後5ヶ月・末っ子チワワのやんちゃ解消法は ?

しつけ2020年4月9日by 大谷幸代さん

レオ&レアのお客様のワンコに関するしつけやお悩みについて、専門家の先生にズバり解決してもらおうというコーナー「専門家に相談! 犬のしつけ・お悩みQ&A」。

今回は、すでにワンちゃんと住まれているお家へ、2頭目以降の新しいワンちゃんを迎え入れたときのお悩みにお答えします。
多頭飼いはハッピーな時間が増える反面、想定外のお悩みに直面することも・・家族とワンコのベストな距離感について考えてゆきましょう。

【ご相談内容】

  • 質問者:チワワのムーンくんのご家族より
  • 愛犬:ムーンくん(チワワ/♂/5ヶ月)
  • 内容:8歳、5歳、4歳の姉チワワの元に生後4か月の弟チワワが加わったご家族からです。8歳の姉チワワ、奥様には一目置くものの、5歳、4歳の姉チワワにはやんちゃさ全開!家族はどこまで仲裁すべき?姉チワワにしてあげるべきことは?弟チワワのしつけは?愛犬同士の関係性を尊重しつつ、家族はどう接するべきでしょうか。

※冒頭の写真参考※
ユーカリちゃん/♀/8歳/2.4kg(左)
リップちゃん/♀/5歳/2.8kg(右)
プラムちゃん/♀/4歳/1.6kg(真ん中)
ムーンくん/♂/5ヵ月/1.2kg(手前)

姉チワワ達は時に優しく、時に厳しく弟チワワを教育中

今は生後4か月の子犬が家族に加わり、家族はもちろん姉チワワ達もそれぞれの距離感を試行錯誤している最中ですね。当面はこのまま基本的には犬同士のことは犬同士にとお任せでおきましょう。

声をかける時や、オヤツや食事のタイミングで姉チワワ達を優先させる取り組みは、とても素晴らしいことです。でも必要以上にこの点を家族が意識しすぎてしまうことで、かえって子犬のやんちゃさを助長してしまうこともあるので、ほどほどにと心掛けておきましょう。

まだ家族に加わって1か月の子犬は「なぜ、姉チワワが優先?」「なぜ姉チワワだけ抱っこしてもらえるの?」「どうしたら自分を一番に扱ってくれる?」と考えています。甘えたい盛りですから、これは仕方がないことです。
犬は生後3カ月を目途に親離れをし、独り立ちをします。年齢の異なる兄弟、姉妹が親犬とともにいつまでも暮らすという習性はありません。つまり姉チワワも弟チワワも今、自分達らしい暮らし方を模索している最中です。

姉チワワが時に叱り、時に甘やかし、受け入れることで弟チワワもたくさんのことを学びます。家族からみると、しつこい・・・可哀想・・・やり過ぎ・・・と感じることでも、姉チワワが受け入れているならば、あえて目をそらし、気が付かない振りをしておくことをおすすめします。

姉チワワには自由に出入りできる避難スペースを

チワワは、古くは納屋でネズミを追い払う役目を担っていた歴史があります。性格は好奇心旺盛で活発、独断独歩な一面をもっています。
そのため家族や姉チワワに叱られてもまるで気にしない、自我を通してしまうムーンくんの行動はまさにチワワそのものです。ただすでに4歳、5歳、8歳と落ち着きをみせる年齢に差し掛かっている姉チワワ達にとって、ムーンくんの遊びに常に付き合うのは当然負担になっているでしょう。

これからは姉チワワそれぞれに専用スペースを設けてあげましょう。
クレートはもちろん、ベッドでもOKです。姉チワワの専用スペースは基本的に1匹サイズで考えてあげましょう。2匹、3匹と共有できるサイズは不要です。1匹だけでのんびりと過ごせる場所を確保することで、もしものときの退避場所がある!と姉チワワ達に安心感をもっていてもらいましょう。

少し厳しいようですが、ムーンくんがこの専用スペースを使うことは我慢してもらいましょう。

弟チワワには対等な遊び相手を見つけることも必要

姉チワワへしつこく接してしまう時はおもちゃで気をひいて距離を取らせたり、姉チワワだけのフリータイムを作ったりされているとのことですが、このような姉チワワ達への心遣いは素晴らしい手法です。ただ遊びたい盛りのムーンくんの行動を制限することは反動からかえって姉チワワへのうっぷんが溜まってしまうので要注意です。

これからはムーンくんをドッグランやお散歩、お出掛けなどへ積極的に連れ出してげましょう。出来れば姉チワワ達は同行させずにムーンくんだけが理想的です。あえて姉チワワを同行させないことで、ムーンくんに他犬との触れ合いを通じて犬同士の接し方、遊びの時の力加減などを学ぶ機会をもってもらいます。

姉チワワであれば受け入れてくれる遊びや甘噛みは他犬には通用しない、叱られることもあるでしょう。時には追いかけられることもあります。でも一方で、対等に遊び、はしゃぎ、じゃれ合える友達ができることもあります。
たとえ子犬であっても男の子と女の子とでは運動量、活発さに大きな違いがあります。今のムーンくんには対等に遊ぶことの出来る相手、自分より活発でパワフルな遊び相手が必要に思えます。
犬は生後半年までが大切な社会化期です。この時期の過ごし方によって、今後の性格や社交性に大きな差異が生まれます。あえて姉チワワ、家族以外と過ごす時間を作ることで、ムーンくんの世界を広げてあげましょう。
ムーンくんには年齢相応の社会経験を積ませ、姉チワワへの接し方、犬の世界には上下関係があることを理解してもらいましょう。

多頭飼いの関係性は年齢や環境で都度変化

犬は、本来群れで暮らす習性を持つ動物です。群れの中では年功序列が必ずしも成立しません。多頭飼いにおける犬同士の関係性、力関係もそれぞれの年齢や体調、性格によって都度変化します。
必ずしも家族の願う序列がずっと続くものではありません。愛犬同士がお互いに折り合いを付け序列を決めた場合は、その姿勢を尊重することが家族の役目です。
時には切なさや不安を感じることもありますが、見守る姿勢を心掛けてあげましょう。

チワワは本来独立志向が強く、多頭飼いは難易度が高い犬種といわれています。しかし常に家族のバランスに目を配っているユーカリちゃん、やさしいリップちゃん、面倒見のいいプラムちゃん達のおかげで、やんちゃなムーンくんは大変素晴らしい環境で過ごせています。ムーンくんの男の子ならではのやんちゃさはこれからもまだまだ続くでしょう。時には姉チワワに叱られてしまうことも・・・でもそのやんちゃさも気が付けば家族の癒しや笑顔に代わります。今は子犬ならではのやんちゃさを家族で楽しみ、気楽に向き合ってあげましょう。

記事執筆&監修:
大谷幸代さん大谷幸代さんドッグトレーナー

大学在学中にイギリスへの短期留学を経験し犬とのライフスタイルを学びペットビジネスの世界へ。20年以上にわたり生体販売、トリマー、トレーナー、店舗開発、成田空港内ペットホテル開業にと従事。現在は3匹の保護犬と1匹の保護猫をパートナーにペット用品の開発、コラム執筆、専門学校講師として活動中。

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