【ドッグトレーナー監修】聞こえすぎ?ワンコの優れた聴覚について解説!

ライフ2023年1月20日by 大谷幸代さん

1キロメートル遠方の物音を聞き分けられる犬の聴覚。その優れた能力はときには熟睡を妨げるなどして、ストレスの原因となることもあります。この記事では、ドッグトレーナー監修のもと、犬の聴覚とその特性に配慮し快適な暮らしを実現するためのポイントを解説します。

犬の聴覚や耳の特性

優れた聴覚の影響で、睡眠中もワンコの脳は活発に働き続け、些細な音を聞き逃しません。多少の騒音や物音でも眠りつづける、人でいう"熟睡状態"にワンコが陥ることはないのです。また、犬種ごとに異なる耳の形状にも特徴があります。

  • ダックスフンド

地面近くまで長く垂れた耳は、野ウサギやアナグマの小さな足音や、草木が揺れるかすかな音も拾い集めることができます。

  • チワワ

大きくよく動く立ち耳は、音のする方向を瞬時に感知し、どのように行動すべきかの判断をサポートします。

  • トイプードル

古くは水辺の狩りで活躍していた歴史があり、鳥が羽ばたく瞬間の僅かな羽音や水音を捉え、瞬時に獲物の居場所を把握します。

  • 日本犬

厚みのあるピンと立った耳は、番犬として様々な音を聞き分け、危険をいち早く察知し家族の安全を守ります。

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ワンコはどんな音が好き?

嫌いな音

ドッグトレーニングの中には、犬が苦手だったり、恐怖を感じる音を活用する手法があります。無駄吠えや噛みつきなどの問題行動を起こした瞬間に嫌がる音を発し、再発を防ぎます。

このような場面で使われる音の例は、以下の通りです。

  • 風船の破裂音
  • 金属が衝突する際に発せられる鋭い音
  • ペットボトルをへこませる音
  • 掃除機の稼働音
  • 他犬の悲鳴

これらの音は、身の危険を想起させ、恐怖を与えるため、再発防止にはなりますが、家族である愛犬に行うしつけの手法としてはあまりおすすめできません。

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好きな音

一方で、犬が好きな音は本能による先天的なものと、生活習慣から好きになった後天的ものに大きく分けられます。

  • 先天的に好きな音
    ぬいぐるみなどのおもちゃからでる「ピーピー」と甲高い音は、子犬の鳴き声や小動物(獲物)が命の危険を感じたときの悲鳴に似ています。音が鳴ることで母性本能や群れ意識はもちろん、獲物を仕留めたときの達成感が刺激され、テンションがあがります。
  • 後天的に好きな音
    オヤツやフードをもらった経験から、ビニール袋を開ける音を聞くと条件反射で食欲が刺激されたり、車のエンジン音で家族の帰宅に気がつき喜んだりします。 家族が鍵を手にするとお出掛けや散歩の支度と勘付き、玄関に走っていったりする姿はとても微笑ましいですね。

犬は遠方の音の聞き取るだけでなく、暮らしの中で様々な音を聞き分け、状況の理解につなげることも出来ます。次の段落ではこれらの犬の特性を理解したうえで、快適な暮らしのために出来る工夫を紹介します。

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快適な暮らしのための工夫

1. テレビや音楽が好きなら、一緒に楽しもう
犬の声が聴こえる番組に興味をしめしたり、楽しそうに視聴するワンコもいれば、無反応なワンコもいます。この違いは、聞き取れる音域や性格の違いが影響しています。

  • そもそも聞き取れているか

電子音は普段よく耳にする人の声とは周波数が異なるため、聞き取りにくいワンコもいます。

  • テレビを通じた犬の声を、単なる雑音と理解している

音声だけでその場に実体は無いと理解できているワンコは、身の危険などないため鳴き声に反応する必要はないと考えています。

  • 他犬への興味関心

他犬への苦手意識が強く、関心が無いのであえて興味を示さないワンコもいます。

また、ピアノの音にあわせて歌っているかのように鳴くワンコがいるように、音楽を聴いてリラックスしたり、気分が盛り上がるタイプもいます。
音楽好きのワンコなら、自宅でのエクササイズ中に一緒に音楽を聞いたり、ドライブ中のBGMを反応をみながら変えるなどの楽しみ方ができます。

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2. テレビやBGMを利用し、留守中の無駄吠えやイタズラを解消

家族の留守中もテレビをつけたままにしたりBGMを流すことが静寂の解消につながり、イタズラ防止につながることがあります。特に日ごろから物音に反応して無駄吠えをしたり、不安や寂しさからイタズラをしてしまうワンコに有効です。

  • 無駄吠え

留守にするからとテレビを消すと、突然室内が静かになります。普段は気にならない些細な音も目立つため、身を守ろうと警戒し、聴覚が研ぎ澄まされます。一見すると昼寝をしている様子でも、聴覚への意識の集中が途切れることはないため、些細な音にも過敏に反応して無駄吠えをするのです。

  • イタズラ

静まり返った部屋に一人きりでいるのは退屈な上に、寂しさや不安が募ります。退屈しのぎに物を壊してみたり、トイレを失敗してみたりとイタズラしたくなるのも仕方がありません。留守中もテレビやBGMを流すことで物音をかきけすことができたり、家族が一緒のときと同程度の生活音が発生するため不安の軽減が期待できます。

  • 夜泣きや遠吠えへの対策

シニアになると体内時計のリズムが乱れ、昼夜逆転の生活をしたり、夜の静寂や気温の低下に不安や緊張を覚え、遠吠えや甘え鳴きをすることが増えます。このような時は、クラシックやフィーリングミュージックなどリラックスできる音を流し続けておくと、静寂を解消でき、ワンコの安眠につながることがあります。

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3. WEBカメラやマイクを利用した留守中の呼びかけは控える

留守中にワンコが寂しい想いをしないようにと、マイク付き自動給餌機やWEBカメラを使用している方もいるでしょう。マイクを通してワンコに呼び掛ける行為は、時にストレスやパニックを引き起こすことがあるためなるべく控えましょう。マイクから家族の声がするにも関わらず、どんなに探しても家族が現れない状況は多大なストレスや不安となります。

WEBカメラはワンコの様子の確認に、自動給餌器はタイマー付きの給餌係としての活用に留めましょう。

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まとめ

犬の聴覚は野生環境下や狩猟の場面ではおおいに役立つものの、家族との日常生活では鋭敏さ故にストレスになることもあります。本日解説したように、留守中や就寝時などの静寂時は、テレビやBGMなどであえて騒音をつくりだす工夫をしてみると、ワンコの気持ちが楽になるでしょう。

記事執筆&監修:
大谷幸代さんドッグトレーナー

大学在学中にイギリスへの短期留学を経験し犬とのライフスタイルを学びペットビジネスの世界へ。20年以上にわたり生体販売、トリマー、トレーナー、店舗開発、成田空港内ペットホテル開業にと従事。現在は3匹の保護犬と1匹の保護猫をパートナーにペット用品の開発、コラム執筆、専門学校講師として活動中。

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