レオ&レアのお客様のワンコに関するしつけやお悩みについて、専門家の先生にズバり回答いただくコーナー「専門家に相談! 犬のしつけ・お悩みQ&A」。
今回は、食事のときに必ずフードを残してしまうワンコについてご相談いただきました。
まずは、食事の食べ残しや少食についてお話して、最後にご相談内容に回答したいと思います。
【ご相談内容】
- 質問者:Elmoくんのご家族より
- 愛犬:Elmoくん(ビションプー/♂/9ヶ月)
- 内容:「必ず食事を残すのはなぜ?どうしたら完食してくれる?」というご相談をいただきました。Elmoくんの食事は、いつも決まった場所で専用テーブルで食べていて、トッピングをすると完食できるとのこと。また去勢手術後は少しずつご飯の量を食べてくれるようになったとのことです。
少食や偏食の傾向が多いプードル
プードルは優れた身体能力を持ち、知能も高くとても活発な犬種です。こんなに毎日元気いっぱいに動き周り暮らしているのですから、きっとお腹もすくだろうと家族は考えますね。でもほとんどのプードルは驚くほどに少食です。食事へのこだわりが強く偏食や食べムラがあることも珍しくありません。
元来のプードルは水辺で俊敏に動き猟をする役目を担っていました。そのため少量の食事でハイレベルなパフォーマンスをすることや、いつでも身軽に動くことを当たり前と感じています。決して大食漢な犬種ではなく、食事においては大変コスパがいいタイプです。
この特性にプードルならではの知能の高さも相まって、毎日決まった時間、決まった場所、決まった量のご飯をもらえる環境に慣れてしまうと、食への関心が薄れてしまい少食や偏食が加速します。トッピングや手作りごはんなど、目新しい食事を前にすると食への関心が一時的に高まり食欲が増加するのもこの犬種ならではです。同じトッピングが続くとまた食への関心を薄れてしまうので、何度も同じお悩みの繰り返しになってしまいますね。
子犬はわずか1年で一生分の成長を遂げます
生後3,4か月の子犬は驚くほどの早さで成長し、毎日体が大きくなってゆきます。実際に食事の度に体重を測ると右肩上がりに増加し続けます。ただ子犬の成長はとても早く、小型犬は生後7~9か月ほどで骨格の成長はほぼ完了します。その後はゆっくりと筋肉や脂肪が増え、最後に被毛が生えそろいます。
生後数か月前までは毎回の食事が待ちきれない、食事を楽しみにしてくれていた子犬がその後食欲が減ってしまった、食事を残すようになってきた、以前に比べ食事に関心が無くなったと感じるのは子犬が一定の成長過程を過ぎたことも理由にあります。
身体的な成長が続く時期と止まった後とでは無意識ながらも体が必要とする栄養量も異なります。以前のようにお腹が空いて我慢できないということもなくなり、次第に食事よりも家族と遊ぶことやお出かけをすること、お散歩などもっと興味関心が湧くことが増えてゆきます。
生後一年未満の子犬は成長スピードに合わせて食欲の増減がありますが、この増減を繰り返しながら自分の適量を見出しているので、無理に完食を目指すことやフードのパッケージに記載された目安量を必ずしも完食することを家族は過度に意識する必要はありません。
私達人間も1日に必要な栄養素や摂取カロリーの目安、理想的な運動量が公開されているものの、かならずしも全員がその通りの食生活を送っているわけではなく、それぞれに自分にあった適量や好みがあるのでしからワンコ達も同じことと理解しておきましょう。
愛犬の適量を把握してみましょう
愛犬の健康維持に毎日の食事はとても大切なことですから、少食や偏食、食べ残しは家族にとって心配ですね。完食をしない生活が毎日続くと、栄養が足りていないのでは?痩せてしまうのでは?と不安になりますね。そのような場合は愛犬にとっての適量を調べてみましょう。
具体的な方法は下記のとおりです。
- 愛犬の体重を計る
- 愛犬が食べ残したフードの量を計る
- 次の食事では②の分量を差し引いた量を愛犬に与える
- ③で完食できるかどうかを確認する
- いつまでも食器を舐めている、家族に食事を催促する様子が見られる場合は、給与量を以前の分量に増やす
- ③で完食できる場合は、この分量が愛犬にとっての適量ということです
- 2週間、一か月後に再度愛犬の体重を計る
大幅な体重減少や継続して減少が続くということが無ければ、この分量が愛犬にとっての適量ということです。
犬にはそれぞれ目安とされる体重やサイズがありますが、必ずしもすべての犬が同量の食事を完食できるわけではありません。それぞれの生活環境や運動量、体質、体格などによって適量は前後します。大切なことは、みんなと同じ分量を毎回完食できることではなく、愛犬が適正な体形を維持しつつ元気に暮らせることです。
トッピングやアレンジは家族も楽しんで
「愛犬が少食だから、トッピングをしないと完食できないから」と、気がつけばネガティブな気持ちや食事へのプレッシャーからトッピングをしていませんか?トッピングや特別なアレンジをすることは本来は楽しい出来事なはずです。犬は必ず完食するものという誤った先入観を捨て、これからはトッピングやアレンジをもっと気軽に楽しんでみてくださいね。
家族が抱えている食事へのプレッシャーは必ず愛犬にも伝わっています。食べてくれるかどうか、完食できるかどうかさりげなく見守る姿を愛犬は敏感に感じています。これからはもっと気軽に、気まぐれにトッピングやアレンジを楽しんで、愛犬も家族も食事のプレッシャーを遠ざけてしまいましょう。
Elmoくんのケース
真ん丸な瞳とクリクリウエーブが本当に愛らしいElmoくんは、まさにやんちゃ盛りですね。Elmoくんは、9か月を迎えているのでもう骨格の成長は終わりを迎え、今は自分の周りに広がる様々な出来事に興味津々な時期ですね。
食事を残してしまう理由は、
- 残しても自分の体に支障がないこと
- 腹八分目でいるほうが、その後に活発に動きやすいこと
- 食事を残すことで家族の関心を惹けること
- 完食をしないことでトッピングの回数が増えること
など、Elmoくんが食事を残すことに対して、たくさんのことに気がついているのでしょう。
Elmoくんの体重を計り、食事を若干減らしても体重の維持が続くようであればその量が適量と判断できます。
また去勢手術後は一時的に食欲が増加したり、体重も増えやすくなります。ただこの症状は、ホルモンバランスが関係したものであって、成長期の体重増加とは意味が違います。
ビションフリーゼとプードルという華奢な骨格を受け継いでいるElmoくんにとって肥満は大敵ですから、過度に完食にこだわらず、Elmoくんの適量を見つけてあげましょう。
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