犬の下痢、便秘、病院に行く目安は?うんちで健康チェック!獣医師監修

健康2019年4月19日by 門田勇介先生

ワンコの体調を知る上で、うんちはとても重要なサイン。健康な状態から病院を受診する目安までを、獣医師の門田先生に解説していただきました。

健康な犬のうんちってどんなもの?

水分をとる量やごはんの種類などの生活パターン、犬の体の大きさや年齢などによっても異なりますが、目安としては以下のように考えるといいでしょう。

  • 回数
    1日1~5、6回くらい(1日にそれ以上の排便がある場合は、健康な排便でない可能性あり)
  • 固さ
    ペットシーツにしみこまない程度(便が固くても、いきんでいる時間が長い場合は、便秘の可能性あり)
  • 色・形状・臭い
    茶色く、棒状または球状(発酵した臭いなど、人が不快に感じる臭いがする場合は正常でないうんちの可能性あり)

子犬の場合は、消化器の発達が未熟なうえに食事内容が成犬と異なるため、成犬よりも回数が多く、うんちがゆるめの場合も少なくありません。また、老犬になると消化機能が落ちたり、腸内細菌のバランスが変化し、下痢をしやすくなったり、逆にうんちが固くなったりすることが増えます。
他にもフードを変えると組成の違いや腸内細菌のバランスの変化により、うんちの臭いや形状が変化することもあります。

犬のうんちの症状と状態別、病院に行く目安

※チャートは目安です。気になる様子があれば、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

上記のチャートを参考に、今すぐ病院に行くべきかチェックしてみてください。当日の診療時間内の受診が必要かどうかは、うんちの変化だけでなく、ぐったりしている、食欲がないなどの全身症状の様子もみて判断することが大切です。

続いては、各症状について詳しく解説していきます。

すぐに病院に行く必要があるうんち

以下のうんちが見られた場合は、すぐに病院に行きましょう。

  • 血便
    うんちに血が混じっている状態です。大腸炎や大腸ポリープ、肛門腺周囲の炎症や腫瘍、痔などの可能性があります。
  • 異物が混入している(誤飲、虫)
    おもちゃの破片やひもなど、食べてはいけないものを誤飲し、うんちに混じって出てきた状態です。誤飲したものがうんちと一緒に全部出ず、腸に詰まってしまう心配もあります。また、うんちに虫が混入している場合は、腸内に寄生虫がいる恐れがあります。
  • 水下痢
    うんちがやわらかく水のような状態です。下痢の原因にはいろいろなものがありますが、よく見られるのがウイルス感染や細菌感染によるもの。また環境の変化などのストレスによって下痢を起こす場合もあります。ただし、大きな病気が隠れている場合もあるので、油断は禁物です。

病院に行くときは、うんちを持参!

うんちを持っていくと、獣医師が診察しやすくなります。持っていけない場合は、写真でもいいでしょう。排便の様子が気になる場合は、動画に撮っておくと伝えやすくなります。また、以下のことも獣医師に伝えましょう。

  • 出た時間:どのタイミングで何回出たか
  • 直前に食べたもの:食事・オヤツの内容、拾い食いをしたかどうかなど

病院にうんちを持っていくときは、ほかの子にうつさないためにも、ジッパーつきのビニール袋などに入れてしっかり封をして持っていきましょう。また、飼い主の手を媒介してほかの子に感染する心配もあります。うんちを触った後はしっかり手洗いをしましょう。

自宅で様子を見てもよいうんち

様子をみるときのポイント

  • 基本、生活はいつも通りに
  • 食事の量をやや減らし、やわらかくする(ドライフードならふやかして与えます)
  • いつもと違う食べ物をあげない

様子をみるときは、基本は、普段と変わらない生活をすることがポイント。たとえば「下痢っぽいから、いつもと違うおやつにしよう」というのはNG! うんちの変化の原因がわからなくなってしまうばかりでなく、悪化する心配もあります。また散歩も行かないことがストレスになる可能性があるので、通常通り連れて行ってかまいません。

ひもや糸の誤飲は、命の危険にもつながる!

飼い主さんにあまり知られていませんが、実はとっても心配なうんちの異常があります。それは、ひも状の異物が混じっているうんちです。

糸やビニール、マット、タオルなどをかじって飲み込んでいる可能性があり、ひも状の異物が腸の中で詰まってしまうと、広範囲にわたって腸管を傷つけ腸閉塞を起こし最悪の場合、死に至る恐れがあります。

ひも状の異物はX線写真に写りにくく、詰まっているかどうか、どこに詰まっているのかを見つけにくいという難点があります。そのため、おなかを切開する大手術になる可能性もあるのです。タオルなど繊維がほつれやすいものや糸やビニールなどをかじらせないよう、犬の近くに置かないようにしましょう。

うんちは健康のバロメーター。毎日チェックして、ワンちゃんの健康に役立ててくださいね。

*個別の診断は必ず獣医師に直接してもらうことをおすすめします。

記事執筆&監修:
門田勇介先生獣医師

2009年東京大学 農学部獣医学専修 卒業。東京都内の動物病院で総合診療に従事するとともに、眼科二次診療施設にて研修医を歴任。得意分野は内科と眼科。日本獣医師会に所属。

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